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作業分析
標準時間の求め方|正味時間・余裕率・計算式の違い

標準時間は、決められた条件・方法と標準的な作業ペースに対応する正味時間に、必要な余裕時間を加えた設定値です。
本記事では、自動車部品のユニット組立を例に、標準時間を設定する手順と計算式を解説します。特に、正味60秒とした例で計算の流れを確認できます。
- 観測時間・正味時間・標準時間の違い
- 標準時間を設定する五つの手順
- 1.対象条件と作業方法を固定する
- 2.要素作業へ分けて複数回測る
- 3.正味時間を決める
- 4.余裕時間を考慮し、標準時間を計算する
- 5.設定値を実作業と照合して承認する
- 正味60秒の場合の計算例
- 計算で見落としやすい三つのこと
- 人と機械の同時進行
- 付随作業・異常・余裕の二重計上
- 標準時間とタクトタイムの混同
- よくある質問
- 余裕率は何%にすればよいですか?
- AIが測った作業時間をそのまま標準時間にできますか?
- まとめ:正味時間と余裕率の定義を揃えて設定する
- 標準時間の検討に使う時間集計・比較を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」
- ① 要素の観測時間を整理する
- ② サイクルや作業者の違いを確認する
観測時間・正味時間・標準時間の違い
用語 | この記事での意味 | 判断上の注意 |
|---|---|---|
正味時間 | 標準の条件・作業ペースに対応する基礎時間 | 単純平均をそのまま標準としない |
余裕時間 | 必要な余裕として認めて加える時間 | 対象と根拠、計算の分母を明確にする |
標準時間 | 正味時間と余裕時間を反映して設定する時間 | 方法・条件・版を残す |
余裕時間は、用足しや疲労の回復、不規則に発生する付随作業など、作業を継続するために必要な時間です。JEED・職業能力開発総合大学校の「標準時間と工数計画の作成」では、正味時間と余裕時間、作業分析の考え方が整理されています。
標準時間を設定する五つの手順
以下では、対象条件の決定から測定、計算、承認までを五つの手順で説明します。補正係数と余裕率は、現場の設定基準に従って決めてください。
1.対象条件と作業方法を固定する
標準時間を測る前に、次の条件を揃えます。
製品・作業条件:品番、部品配置、治具、工具、検査方法
人員条件:担当人数と、対象作業に必要な習熟・実施条件
測定範囲:治具へのセット開始から、検査結果を確認して取り出すまでなど
条件が異なるサイクルを一緒に平均すると、どの作業に適用する標準か分からなくなります。
2.要素作業へ分けて複数回測る
セット、締結、検査確認、取り出しなどの区間を分けます。通常の繰り返しに加え、工具交換や材料補給がいつ発生するか記録します。異常があったサイクルは原因を残し、無言で削除しません。
3.正味時間を決める
正味時間を設定する方法には、作業ペースの評価を伴う時間研究や、既定の時間データを使う方法などがあります。
4.余裕時間を考慮し、標準時間を計算する
本記事では、余裕率を「余裕時間÷正味時間」と定義します。余裕率が分かると、標準時間は以下で表現することができます。
標準時間=正味時間×(1+余裕率)
また、余裕率が分からなくても、余裕時間が分かっていれば以下で計算できます。
標準時間=正味時間+余裕時間
5.設定値を実作業と照合して承認する
必要な確認を省かず継続できる方法か、含めた余裕を他の見積もり項目でも計上していないかを確認します。工程責任者が採用値と適用条件を承認し、配置・設備・品種が変わったときは見直します。
正味60秒の場合の計算例
次は、正味時間を60秒とした説明用の計算例です。作業ペースの補正は済んでいるものとし、余裕率を使う場合と、余裕時間が分かる場合の計算例です。実測値や導入効果を示す数値ではありません。
条件 | 計算 | 標準時間 |
|---|---|---|
余裕率10% | 60×(1+0.1) | 66秒 |
余裕時間が6秒 | 60+6 | 66秒 |
計算で見落としやすい三つのこと
人と機械の同時進行
自動検査中に次の部品を準備する場合、人の作業時間と機械の時間をすべて加算すると、周期を二重に数えることがあります。人の工数を求めたいのか、設備の繰り返し時間を求めたいのかを先に決め、時間軸で重なりを確認します。
付随作業・異常・余裕の二重計上
材料補給の時間を一個当たりに割り振って正味時間に含めた場合、同じ補給を余裕時間にも加えると二重計上になります。突発停止も、すべてを一律の余裕率で処理せず、標準時間に見込む範囲と改善対象の原因を分けて記録しましょう。
標準時間とタクトタイムの混同
標準時間は作業側の設定値です。タクトタイムは、対象期間の生産に使える時間÷必要生産数で求める需要側のペースです。需要が変わったからといって、同じ方法の標準時間を機械的に短くすることはできません。
よくある質問
余裕率は何%にすればよいですか?
一律の適正値は示せません。疲労や付随作業などの対象、現場の条件、自社の基準と測定結果をもとに設定します。採用率だけでなく、対象作業や設定根拠も残してください。
AIが測った作業時間をそのまま標準時間にできますか?
測定結果は設定の材料です。分類の修正、通常・異常の区別、作業方法、レイティングや余裕の扱いを確認し、責任者が標準として採用する必要があります。
まとめ:正味時間と余裕率の定義を揃えて設定する
余裕時間・正味時間・標準時間を区別し、対象条件と作業方法を決める
計算の根拠を残し、方法や設備の変更時に標準時間を見直す
標準時間の設定に使う作業データの整理を、AIで効率化できます。要素作業の分割・時間集計・サイクル比較を自動化し、担当者は条件の確認と標準の設定に集中できます。
標準時間の検討に使う時間集計・比較を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」
① 要素の観測時間を整理する
動画から要素作業や分類別の時間を確認できます。どこからどこまで測ったかを映像と照合し、付随作業や異常の扱いを揃える材料にできます。

Ollo Factoryの公式デモ画面。本文のユニット組立例とは別の作業です。
② サイクルや作業者の違いを確認する
同じ作業を比較し、要素ごとの時間差を確認できます。差を作業ペースだけに帰さず、方法・設備・部品供給の条件を調べるために使えます。

Ollo Factoryの公式デモ画面。本文のユニット組立例とは別の作業です。
自動計測された時間は観測値です。正味時間、レイティング、余裕の分母・率を決め、標準として承認する判断は別途必要です。
この記事の執筆者
株式会社Ollo
事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida
製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。
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