公開日: 2026年10月22日

作業分析

タクトタイム・サイクルタイム・リードタイムの違い|計算例と改善方法

    製造現場では「タクトタイム」「サイクルタイム」「リードタイム」というワードをよく耳にします。各ワードの意味はわかるけど、各ワードの違い・関係性を説明するのは難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。タクトタイムは「必要数量をつくるために求められる生産ペース」、サイクルタイムは「実際のペース」、リードタイムは「決めた始点から終点までの全体の時間」とまとめることができます。

    この記事では製造現場のリーダーに向けて、各タイムの違い、計算方法、比較する条件、改善の進め方を解説します。この記事で用いられている具体例は自動車部品のユニット組立の架空モデルです。

    タクトタイム・サイクルタイム・リードタイムの違い

    タクトタイム・サイクルタイム・リードタイムの違いは以下の表にまとめることができます。

    指標

    概要

    単位

    使う場面

    タクトタイム

    必要数量を満たすために、製品1個を何秒ごとにつくる必要があるかを示す時間。

    秒/台(秒/個)

    生産計画、作業分担の目安

    サイクルタイム

    1個の製品を製造するのに実際にかかる1サイクル当たりの時間。

    秒/サイクル。

    工程能力、ばらつき、ロスの観察、タクトタイムとの比較

    リードタイム

    発注などの始点から、納品などの終点まで進むのにかかる時間です。この記事では、製造工程への投入から完成までを対象とし、加工・待ち・運搬などの時間を含めます。

    待ちや運搬を含む分・時間・日。

    引渡しまでの滞留や流れの改善

    1サイクルで2個を完成させる工程では、「サイクル時間60秒」と「1個当たり30秒」は異なります。タクトと比べるときは、個当たりの単位へ揃えます。リードタイムは特定の品物の開始から完了までを追い、工程間の待ちも含めて測ります。

    現場によって測定範囲や呼び方が異なるため、比較する表には、始点・終点、停止や待ちの扱いを明記します。

    タクトタイム・サイクルタイム・リードタイムの計算方法

    タクトタイム・サイクルタイム・リードタイムの計算方法は以下にまとめることができます。

    指標

    計算方法

    具体例

    タクトタイム

    タクトタイム = 生産に使える時間 ÷ 必要な生産数

    休憩などを除いた一日の勤務が8時間で一日の必要生産量が480台の場合、タクトタイムは8時間×60分×60秒÷480台=60秒/台です。

    サイクルタイム

    平均サイクルタイム = 測定したサイクルの合計時間 ÷ 測定サイクル数

    5サイクルの時間が300秒であった場合、300秒÷5サイクル=60秒/サイクル

    リードタイム

    リードタイム=対象範囲の終了時刻-開始時刻。加工・検査・運搬・待ちなどを含みます。

    製品の実際の加工時間が2時間、運搬などの停滞時間が1時間の場合、リードタイムは2時間+1時間=3時間

    タクトタイムとサイクルタイムを比較するときの考え方

    目標のタイムであるタクトタイムと実際のタイムであるサイクルタイムを比較することで、必要な生産ペースと実際の作業時間の差を把握できます。

    サイクルタイムがタクトタイムより長い(サイクルタイム>タクトタイム)

    目標の生産時間に現実が追いついていない状況です。同じ条件で生産を続けると、対象期間内に必要数量を生産できない可能性があります。部品供給、探す動作、手直し、設備待ちなどへ分けて原因を調べます。作業者へ速くするよう求める前に、配置、順序、前後工程の制約を確認します。

    サイクルタイムがタクトタイムと同じ(サイクルタイム=タクトタイム)

    計算上は、必要な生産ペースと実際の作業ペースが一致している状態です。ただし、停止やばらつきへの余力が小さいため、実際の良品数量も確認します。

    サイクルタイムがタクトタイムより短い(サイクルタイム<タクトタイム)

    製品を目標よりも早く生産できている状況です。必要なペースに対する余力があります。しかし、必要数量を超えて生産し続けると、在庫が増える恐れがあります。実際の生産指示、仕掛量、後工程の引取りを見て判断します。余力を教育、補充、改善に使う場合は、作業条件と分担を明確にします。

    タクトタイムとサイクルタイムで改善を進める4ステップ

    1. タクトタイムを計算する

    稼働時間と必要な個数で計算し、タクトタイムを算出します。

    自動車部品のユニット組み立ての例:その工場の休憩時間を引いた時間と必要な完成品の数を割ります。

    2. サイクルを測定する

    ストップウォッチや録画した動画をもとに各サイクルのタイムを測定します。その後、全サイクルの合計時間を、測定したサイクル数で割り、サイクルタイムを計算します。

    自動車部品のユニット組み立ての例:自動車部品の受け取りから完成品の提出までを1サイクルとし、そのサイクルを複数測定します。その後、測定した各サイクルの時間を合計し、測定回数で割って平均サイクルタイムを求めます。

    3. サイクルタイムとタクトタイムを比較し、時間差の原因を考える

    算出したサイクルタイムとタクトタイムを比較し、改善案を考えます。サイクルタイムとタクトタイムの関係は前の章の「タクトタイムとサイクルタイムを比較するときの考え方」を参考にしてください。

    自動車部品のユニット組み立ての例:サイクルタイムとタクトタイムを比較した結果、サイクルタイムがタクトタイムよりも長いことが判明した。一番遅いサイクルと早いサイクルや作成したマニュアルで比較すると、ネジ締めの締め直しが多発していることがわかった。

    4. 改善後、改めて測定し結果を確かめる

    改善後、もう一度測定し、実際に効果が出ているのかを確認します。

    よくある計算ミス

    勤務時間をそのまま使う、必要数量と投入数量を混ぜる、単位が分と秒で違う、最速の一回を工程能力にする、といった間違いが起きやすくなります。

    比較表には「期間・時間の定義・品番・台数・良品/投入の区分」を残します。時間の数字が揃っていても、測定範囲が違えば比較できません。

    タクトタイムとサイクルタイムについてよくある質問

    タクトタイムが短いほど生産性は高いですか?

    タクトタイムは必要数量に応じたペースなので、短さだけで生産性を評価しません。実際の良品数量と、人・設備などの投入を合わせて確認します。

    ラインのサイクルタイムは平均で決めてよいですか?

    工程ごとの一巡、ばらつき、停止、並列設備、供給条件を確認します。全体の完成ペースは、単純に各工程の平均を足した値ではありません。

    一人の作業時間を短くすれば、完成数量は増えますか?

    別の設備や後工程が制約なら、増えない場合があります。改善の対象と、全体のボトルネックを合わせて見ます。

    まとめ:必要なペース・実際の周期・全体の時間を分けて考える

    • タクトタイムは、利用可能時間と必要数量から求める生産ペースとして使う

    • サイクルタイムは、同じ始点・終点で測った実際の繰り返し時間として比べる

    • リードタイムは、工程間の待ちや運搬を含め、決めた範囲全体で確認する

    指標を区別したうえで、タクトに対して長いサイクルの中身を調べます。AIを使えば、動画からのサイクル検出や時間差の可視化を自動化し、どの場面にロスがあるか確認しやすくなります。

    サイクル検出・時間差の可視化を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」

    製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」のサイクル検出機能は、基準となる1サイクルを指定すると、動画内の複数のサイクルを検出できます。

    基準サイクルから複数のサイクルを検出し、各サイクルの所要時間を一覧で確認するOllo Factoryの画面

    さらに、検出された複数サイクルのうち遅かったサイクルを比較することができます。

    製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」の比較分析AIは、お手本と対象者の動画を対応させ、作業の違いを確認できます。

    Ollo Factoryでお手本と比較対象の作業動画を並べ、要素別の時間差と作業漏れの箇所を確認する比較分析画面

    一般的にはストップウォッチで測定し、遅かったサイクルを比較するのを人力で行う必要があり、時間がかかります。Ollo Factoryの場合、動画をアップロードするだけでこの作業を自動化することができます。詳しく機能を知りたい方は、Ollo Factoryの資料をご覧ください。

    Ollo Factoryの資料を請求する

    この記事の執筆者

    株式会社Ollo
    事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida

    製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
    大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
    現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。

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