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作業分析
作業分析とは?目的別の手法と進め方を製造業向けに解説

「工程が遅い」「人によって時間が違う」と感じても、原因がわからなければ改善方法は決められません。そこで、仕事を要素作業に分け、動作・時間・待ちを観察して、作業方法を見直すのが作業分析です。
本記事では、自動車部品のユニット組立を例に、分析の目的、課題に応じた手法の選び方、観察から改善・再測定までの進め方を解説します。まず、時間・動作・稼働状態のどこを調べたいかを明確にしましょう。
- 作業分析で明らかにすること
- 目的に合わせた手法の選び方
- ユニット組立で作業分析を進める六つの手順
- 1.課題を、分析で答えられる問いにする
- 2.開始・終了と分類を決める
- 3.通常・異常・付随作業を記録する
- 4.長い区間を、映像と事実で切り分ける
- 5.改善案を一つ選び、成立条件を確認する
- 6.同じ条件で再測定し、標準へ反映する
- 分析を始める前に書く調査票
- AIを使う場合も、人が決める分析条件がある
- 工具探索を改善するまでの例
- よくある質問
- 工数管理と作業分析の違いは何ですか?
- 何サイクル測れば十分ですか?
- まとめ:答えたい問いに合わせて分析手法を選ぶ
- 動画の作業分類・時間集計・改善案作成を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」
- ① 要素作業・時間・分類を整理する
- ② 問題点と改善案を検討する
作業分析で明らかにすること
作業分析の対象は、作業者の速さだけではありません。部品の供給、工具の配置、設備を待つ時間、検査・確認の方法も調べます。時間が長いという結果から、実際に何が起きていたかを要素ごとに確かめ、原因を絞り込みましょう。
必要な成果物は、調べたい問いに合わせて選びます。
所要時間や稼働状態を知る:時間の記録表、状態ごとの割合
移動を見直す:配置図と移動線、距離や回数の記録
作業方法の差を知る:対応する二つの動画と、動作・時間の差分
すべての手法を実施する必要はありません。
目的に合わせた手法の選び方
判断したいこと | 観測する単位 | 主な手法・記録 | 読み取るもの |
|---|---|---|---|
一周期のどこが長いか | 要素作業と時間 | タイムスタディ | 時間を使う区間と原因 |
一日のどの活動が多いか | ある瞬間の作業状態 | ワークサンプリング | 対象期間の状態割合 |
なぜ手待ちが出るか | 人と設備などの時間関係 | 連合作業分析・標準作業組合せ票 | 同時進行・待ち・干渉 |
工程間の負荷が偏るか | 作業者別の要素時間 | 山積み表 | タクトとの関係・配分案 |
移動が多い理由は何か | 場所と動線 | 流れ線図、工程分析 | 探す、往復、手の届きにくさ |
ベテランと新人は何が違うか | 同じ条件の作業・判断 | 比較動画・要素別時間 | 順序や確認、判断の違い |
品物の流れ・運搬・待ちを調べる | 品物がたどる工程と移動 | 工程分析 | 工程の順序、運搬距離、停滞 |
ワークサンプリングは細かな一動作の秒数を測る手法ではありません。逆に一周期の動画を精密に測っても、一日の材料不足の割合をそのまま推定できるわけではありません。問いと観測範囲の一致が必要です。
ユニット組立で作業分析を進める六つの手順
1.課題を、分析で答えられる問いにする
例では「締結工程が遅い」という感想を、「部品照合から検査完了までの周期で、どの区間がタクト超過に関係しているか」にします。対象品番、必要ペース、調べる時間帯、比較する条件を決めます。
2.開始・終了と分類を決める
測り始める場面と測り終える場面を具体的に決めます。「部品を取る」「治具へセットする」「締結する」「検査結果を確認する」「取り出す」といった要素に分け、動作や確認の違いがわかるようにします。測定者による区切りのずれを防ぐため、動画の見本と判定ルールを共有しましょう。
3.通常・異常・付随作業を記録する
複数サイクルを観察し、部品探索、設備停止、異常品の処置、補給が起きた区間に理由を付けます。最速の一周期だけを見て改善案を決めると、頻度の高い遅延を見落とすことがあります。
4.長い区間を、映像と事実で切り分ける
締結前が長いなら、部品が届かないのか、似た部品を確認しているのか、治具への着座が難しいのかを調べます。「新人が遅い」という結論にせず、配置・方法・設備・材料・教育の条件を確かめます。
5.改善案を一つ選び、成立条件を確認する
たとえば部品箱の識別表示を変える案なら、取り違えの防止、取り出しやすさ、補給の運用を確認します。作業順序を入れ替える案なら、品質・安全の条件を守れるか責任者が判断します。検査を省いた時間短縮と、必要な作業を保った改善は区別してください。
6.同じ条件で再測定し、標準へ反映する
改善前後で品番、境界、分類、対象期間を揃えます。平均だけでなく、長いサイクルや異常の頻度も比較し、品質・負荷への影響を確認します。採用した案は手順書・配置図・教育へ反映して、再現できる状態にします。
分析を始める前に書く調査票
調査を始める前に、次の項目を記録しておくと分析の目的がぶれにくくなります。「そうではないか」という仮説と、動画や記録で確認できた事実は分けて書きましょう。
項目 | ユニット組立の記入例 |
|---|---|
問い | 締結前の遅れは何によって発生するか |
対象・条件 | 同じ品番・治具・部品配置。条件差は別記録 |
境界 | 部品照合開始〜検査結果を確認して取り出すまで |
分類 | 照合、セット、締結、検査確認、取り出し、探索・待ち |
仮説 | 部品の識別と治具へのセットで迷いがある |
必要な追加情報 | 現品表示、治具の状態、供給の時刻、作業者の説明 |
改善後の確認 | 同条件の時間と誤り、負荷、確認の抜け |
AIを使う場合も、人が決める分析条件がある
動画の要素分割や分類、時間集計、改善案の作成はAIで支援できます。一方、対象品番や締結条件、何を通常と認めるか、提案を実行してよいかは、現場の正式な基準と判断が必要です。
手元が隠れる映像や画面外の待ち原因は、映像だけで確定できないことがあります。分析結果を動画へ戻って確認でき、分類を修正して、必要な記録を追加できる運用が大切です。
工具探索を改善するまでの例
ユニット組立で工具を探す場面が見つかった場合は、次の順に検討します。これは説明用の例で、実測した改善事例ではありません。
観察・記録:探索した区間の時間と、工具の置き場所・返却状態を残す。
試行:手の届く定位置と返却ルールを決め、工具を間違えずに使えるか確かめる。
再測定:同じ品番と測定区間で、探索回数・時間と、必要な確認の抜けを比較する。
よくある質問
工数管理と作業分析の違いは何ですか?
工数管理は、業務や製品に使った人の時間を記録し、計画・実績を管理する用途があります。作業分析は、その時間がどの要素・状態で発生し、何を改善できるかまで調べます。工数管理で問題のある工程を見つけ、作業分析で原因を調べる流れも有効です。
何サイクル測れば十分ですか?
作業のばらつきと調べたい問いで変わります。固定の回数を万能な基準にせず、品種・時間帯・付随作業・異常の発生を捉えられる範囲を計画し、足りない条件を追加して確認します。
まとめ:答えたい問いに合わせて分析手法を選ぶ
流れ・時間・動作・稼働状態のどこを調べるか決める
対象条件と記録方法を揃え、事実と原因の仮説を分ける
一つの工程で改善案を試し、同じ条件で時間・品質・作業負荷への影響を確認する
分析条件を決めた後の動画の区切り・分類・時間集計は、AIで自動化できます。問題の場面や改善候補も整理できれば、原因の確認や試行の準備に集中しやすくなります。
動画の作業分類・時間集計・改善案作成を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」
① 要素作業・時間・分類を整理する
作業動画を分析し、要素ごとの時間や分類別の集計を確認できます。目的に応じた自社の分類で、調べたい場面を絞る材料にできます。

Ollo Factoryの公式デモ画面。本文のユニット組立例とは別の作業です。
② 問題点と改善案を検討する
動画から問題点を特定し、改善案を提示します。案を根拠の場面へ戻って確認し、品質・安全・設備条件を踏まえた検証につなげます。

Ollo Factoryの公式デモ画面。本文のユニット組立例とは別の作業です。
汎用AIへ映像と質問を渡すだけでは、作業の境界や分類が担当者ごとに揃わないことがあります。自社の定義を決め、AIの出力と修正を含めて運用します。
関連機能:稼働分析 / 問題点の特定・改善提案
この記事の執筆者
株式会社Ollo
事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida
製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。
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