公開日: 2026年10月22日

現場改善

工場の5S活動の進め方|形骸化を防ぐチェックと改善例

    工場の5S活動は、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを通じて、必要な物を迷わず使い、異常を見つけ、良い状態を維持する取り組みです。掲示や清掃の実施回数だけを追うと、工具を探す時間や取り違えといった現場の課題が残ることがあります。

    続く活動にするには、改善する課題、正常な状態、担当者と確認方法を決めることが重要です。本記事では、自動車部品のユニット組立を例に、5Sの進め方と形骸化を防ぐチェックを解説します。

    工場の5Sとは?五つの意味を作業へつなぐ

    5Sの五つの活動を、ユニット組立の作業台に当てはめると次のようになります。5Sを行うことにより、安全性を高めるのに加えて、業務の効率化や従業員の教育にもつながります。

    5S

    意味

    ユニット組立での例

    整理

    必要・不要を分け、扱いを決める

    使わない治具や旧版手順を区別する

    整頓

    置き場所・置き方・数量を決め、必要な物を取り出して戻せるようにする

    工具・部品の定位置と識別を決める

    清掃

    汚れを取り除き、設備や場所の状態を確認する

    治具周辺の異物、油漏れなどを確認する

    清潔

    整理・整頓・清掃を続け、良い状態を維持する仕組みをつくる

    基準写真、補給・清掃のタイミングを決める

    しつけ

    決めたルールと手順を理解し、日常の作業で守り続ける

    返却や異常時の報告を教育・確認する

    中小機構J-Net21の5S解説でも、探す作業や汚れなど、現場の課題と結びつけた取り組みが説明されています。見た目の点数だけでなく、実際の仕事がしやすくなったかを確認しましょう。

    5Sをどう進めるか

    1.一つの場所と課題に絞って始める

    ユニット組立の締結作業台なら、次の課題から始められます。

    • 工具の探索:始業・交代時に、工具を探していないか

    • 部品の混在:異なる部品が同じ箱や置場に混ざっていないか

    • 治具の異物:残った異物が、組付けや確認の妨げになっていないか

    最初は一つの場所に絞り、正常な状態の判断と、異常を直す流れを決めましょう。

    工具探索の回数・時間、取り違えの件数、治具の異物によるやり直しなど、観察する指標を決めます。数字を集めるための負担も考え、必要な範囲に絞ります。

    2.整理で、判断に迷う物を残さない

    使用中・予備・未確認・不要候補を分け、判断者と期限を決めます。「最近使っていない」だけで予備品や測定器を処分しません。使用計画、品質・保全の役割、保管ルールを確認して扱いを決めます。

    旧版の作業手順書は、現場で誤って使えない状態にしつつ、必要な履歴は文書管理ルールに沿って残します。整理は、廃棄量を競う活動ではありません。

    3.整頓で、使う・戻す・補給する流れを揃える

    工具は使用頻度と順序、届きやすさを確認して置きます。形やラベルだけでなく、欠品がわかること、代替工具との区別、返却時の状態を決めます。部品箱は品番・置き場・補給方法を揃え、似た部品の取り違えを防ぎます。

    配置を変える前には、設備の可動範囲や通路、品質確認のしやすさを確かめます。移動が短くなっても、無理な姿勢や確認の抜けが増えないかを見てください。

    4.清掃を、状態を確認する機会にする

    どこを、いつ、何で清掃し、どの状態を異常とみなすかを決めます。治具に異物があれば、取り除くだけでなく、発生源や再発を確認します。異常を見つけたときの停止・報告先も明確にします。

    清掃は、承認された設備の停止・安全手順に従って行います。運転中に手を入れる、製品条件へ影響する方法で洗浄するといった行為を、5Sのために追加しないでください。

    5.清潔・しつけで、維持できる仕組みを作る

    正常な状態の写真、対象箇所、判定基準を揃えます。新人・交代者も同じ状態を確認できるよう、使い方と返却・補給を教育します。守られないときは、本人の注意だけでなく、置き場不足、補給の遅れ、わかりにくい表示などの原因を調べます。

    形骸化を防ぐ三つの見直し

    点数より、課題が減ったかを見る

    写真が整っていても、作業中に工具を探していれば課題は残っています。改善前後で同じ工程・時間帯・観測方法を使い、探す回数や時間、確認のしやすさを比べます。単発の短縮を全体の成果として広げないようにします。

    同じ指摘が続く原因を調べる

    工具が戻らないなら、返却場所までの距離、作業後の動線、交代時の責任を確認します。再発を注意不足で片付けず、守れる仕組みへ変更します。

    チェック項目を増やしすぎない

    同じ指摘を複数表へ転記しても対策は進みません。対象の課題と必要な確認を絞り、変更や再発に合わせて項目を見直します。5Sチェックだけで、設備・安全衛生のすべての要求を満たすと考えないことも必要です。

    まとめ:正常な状態と、維持する仕組みを決める

    • 一つの場所と課題から始め、必要な物・置場・清掃と点検の基準を決める

    • 担当者と確認方法を揃え、異常があれば対応する流れを作る

    • 活動の回数や見た目だけでなく、探索・取り違え・やり直しが減ったか見る

    5Sの効果を調べるために、作業動画から探索・移動・手待ちなどを整理する作業はAIで自動化できます。実際の動作と時間を基に、定位置や補充方法の改善へつなげましょう。

    5S改善に使う動作分析・時間集計を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」

    5Sの課題を、実際の動作と時間で確認する

    株式会社Olloが提供する製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」は、作業動画の分析を支援します。

    ① 探索・取り回しの改善候補を見つける

    作業動画から5Sに関する問題点と改善案を自動で提示できます。工具を探す、部品へ手を伸ばす、物を置き直すといった場面を動画で確認し、5Sで取り組む対象を絞るための分析を効率化できます。

    Ollo Factoryで作業動画から特定した問題点と改善提案を確認する画面

    ※Ollo Factoryの操作画面例です。画面内の期待効果はAIの提案であり、実測した改善効果ではありません。

    ② 変更前後の時間・回数を確認する

    要素作業や分類別の時間・回数を分析できます。同じ対象作業で探索や移動を確認し、定位置・補給ルールの見直し後も続いているか確かめます。

    Ollo Factoryで要素作業の分類別に作業時間と回数を集計した画面

    ※Olloの公式サイトで公開しているデモ画面です。本記事の説明用ユニット組立を解析した結果ではありません。

    動画に映らない汚れや設備の状態は、現場の点検と組み合わせて確認してください。改善案を採用する際は、安全・品質への影響も確認します。

    詳しい機能:探索・取り回しの改善候補を見つける、変更前後の時間・回数を確認する。

    5Sを写真の採点で終わらせず、実際の作業改善へつなげたい方は、活用方法をご確認ください。 Ollo Factoryの資料を請求する。

    この記事の執筆者

    株式会社Ollo
    事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida

    製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
    大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
    現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。

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