公開日: 2026年10月22日

現場改善

7つのムダとは?製造現場の具体例と見つけ方

    7つのムダとは、製造現場の仕事を「つくりすぎ・在庫・運搬・加工そのもの・動作・手待ち・不良/手直し」の7つの観点で見直す考え方です。作業者が忙しく動いていても、その動きが、必要な製品を必要な品質で完成させることにつながっているかを確認します。

    現場で使うときは、名前を覚えるだけでなく、「何が起きたか」「なぜ起きたか」「何を変えて確かめるか」まで整理します。本記事では、自動車部品の組立を題材に、具体例と見つけ方、改善後の確認まで説明します。事例と数値は説明用の架空例です。

    7つのムダの一覧と、ユニット組立の具体例

    例の工程では、ハウジングに部品を取り付け、指定の条件で締結し、接続と取付状態を確認して後工程へ渡します。各作業の必要性は、図面・承認済み手順・品質要求を基準に判断します。

    種類

    見直す対象

    自動車部品のユニット組立での例

    つくりすぎ

    必要な時期・数量を超える生産

    後工程が必要とする30台を超え、治具が空いているため50台まで組み立てる

    在庫

    必要量や使用予定が明確でない保有・滞留

    使用予定のない旧品番の部品や仕掛ユニットが置場を占める

    運搬

    余分な移動・仮置き・積み替え

    組立済みユニットを仮置き台から別の台車へ載せ替える

    加工そのもの

    要求されていない余分な処理

    同じ取付状態を重複して記録する。必要性を品質担当者と確認する

    動作

    探す・持ち替えるなどの余分な動き

    締付け工具を毎回探す、ブラケットの向きを取り直す

    手待ち

    次の作業へ進めない待ち時間

    検査設備や前工程の供給を待ち、ユニットを投入できない

    不良・手直し

    作り直し・修正・廃棄

    ブラケットの向き違いを検査で見つけ、外して取り付け直す

    一つの出来事が複数のムダにつながる場合もあります。例えば、つくりすぎで仕掛品が増え、置場が狭くなり、運搬や探索が増えることがあります。分類名だけでなく、発生の順序も確認しましょう。

    現場での見つけ方と、確認する問い

    つくりすぎ:何台必要なのかを確かめる

    設備が空いているからと作り続ける前に、次を確認します。

    • 必要数量:後工程が、どのユニットを何台必要としているか

    • 補充のタイミング:いつ、どの合図で生産を始めるか

    • 停止の条件:必要量を満たしたら、どの合図で止めるか

    後工程が必要としていない分まで作ると、在庫や運搬の負担につながります。

    需要変動への備えや段取りの制約で、一定量が必要な場合もあります。30台を超えたという理由だけで余分と決めず、必要数量の根拠と生産指示を照合してください。つくりすぎは、在庫・運搬・品質問題の発見の遅れにもつながります。

    在庫:そこにある理由と、滞在時間を見る

    部品棚や仕掛置場を見て、品番、数量、置いた日時、次に使う工程を記録します。旧品番のブラケットが残っているなら、使用予定や品質保留の有無を確認します。

    「いつか使う」と言われたときは、予定と管理担当を確かめます。数量だけでは、供給に必要な在庫と、使用予定のない在庫を区別できません。処分や移動を決める前に、保管条件や所有区分も確認してください。

    運搬:出発点から到着点まで、物を追う

    作業者の歩行だけでなく、ユニットが何回載せ替えられ、どこに仮置きされるかを見ます。距離が短くても、一台ずつ何度も往復すれば運搬回数は増えます。

    距離、回数、搬送単位、仮置きの目的を記録します。組立台と検査設備を近づける案は、避難経路、保守スペース、部品供給の動線を確認して検討します。移動を別の担当者へ任せただけでは、工程全体の運搬は減っていない場合があります。

    加工そのもの:その処理を求める根拠を確認する

    同じ情報を二つの帳票へ転記したり、同じ状態を繰り返し確認したりする作業が残ることがあります。図面、顧客要求、後工程での用途を照合します。

    ただし、似た検査でも対象や責任が違う場合があります。締結の記録と外観の検査を「二回見ているから不要」とまとめて削除せず、品質担当者と必要な機能を確かめてから方法を見直します。

    動作:探す・持ち替える・取り直すを見る

    部品の向きを確認し直す、工具へ手を伸ばす、部品箱を見比べる、といった短い動作は見過ごされがちです。一サイクルの時間に加え、回数と発生条件を残します。

    例えば部品を探す動作があれば、箱の表示、部品の向き、供給位置を確認します。速い人の動きを強制するより、無理なく同じ結果を出せる配置を考えます。腰をひねる、肩を上げるなど身体への負担も一緒に見てください。

    手待ち:何を待ち、なぜ進めないかを分ける

    検査設備の終了、部品補充、判定の確認など、待ちの原因は異なります。「本人が遅い」という評価の前に、待ち始めと待ち終わり、前後工程の状態を記録します。

    設備の監視が必要な時間は、別の仕事に使えるとは限りません。設備から離れてよい条件、治具の空き、次の作業の準備状況を確認してから、順序や分担を検討します。

    不良・手直し:発生した場所と、見つけた場所を分ける

    部品の向き違いを最終検査で見つけても、原因は部品を取り出す時の向きや表示にあるかもしれません。間違えた段階と、初めて気づけた段階を分けて記録します。

    検査を増やす案に加え、似た部品の混在、作業の中断、指示の分かりにくさを調べます。改善後は、不良件数、手直し時間、後工程への流出を確認します。時間短縮だけで、改善できたと判断しないことが大切です。

    「動作」と「運搬」、「在庫」と「つくりすぎ」の違い

    動作は人の動き、運搬は物の移動に着目します。自動車部品の組立の場合、工具を探すなら動作、部品を検査台へ運ぶなら運搬です。台車を探してから運ぶ場合は、探す時間と運ぶ時間を分けます。

    つくりすぎは必要以上に作る行為、在庫は物が保有・滞留している状態です。在庫の原因は、つくりすぎだけでなく、仕入れロットや品質保留にもあります。

    分類に迷うときは、「何秒、何回、何個、何m」と観察した事実を先に残します。同じ12秒を、動作と手待ちの両方へ足して二重計上しないようにします。

    観察から改善までを、一枚にまとめる

    次は架空の記入例です。「観察した事実」と「原因の仮説」を分け、現場で検証してから効果を確定します。

    観察した事実

    ムダの候補

    原因の仮説

    試すこと・確かめること

    部品を探す時間が1回12秒あった

    動作

    箱の品番表示が見えにくい

    表示方向を揃え、同じ条件で探す時間と誤取出しを比較

    部品を仮置きして再び台車へ載せる

    運搬

    引渡し場所が分かれている

    仮置きの目的を確認し、載せ替え回数を比較

    向き違いで部品を付け直す

    不良・手直し

    取付前に識別点を確認していない

    向きの写真と確認位置を見直し、不一致の発見状況を比較

    検査設備の終了を9秒待つ

    手待ち

    人と設備の順序が合っていない

    監視条件と前後関係を確認し、人・設備の時間軸を整理

    動画を使う場合は、該当場面の時刻を残します。「ムダが多い」という評価より、同じ映像を見ながら話すほうが対象を共有できます。作業者へ観察の目的を伝え、社内の撮影・利用ルールに従って記録してください。

    改善後は、別の場所へ負担が移っていないかを見る

    一つの組立工程が速くなっても、補充担当の往復や、後工程の仕掛品が増える場合があります。改善前後で品番、工具、供給条件、測定範囲を揃え、前後工程も確認します。

    7つのムダについてよくある質問

    ムダはすべて、すぐに取り除くべきですか?

    必要性と制約を確認してから進めます。安全、品質、顧客要求に関わる機能を維持し、その実現方法を改善します。

    最初にどのムダを探すとよいですか?

    一つの作業に絞り、頻繁に起きる「探す」「待つ」「やり直す」を記録すると始めやすくなります。原因が前後工程にある場合は、観察範囲を広げます。

    7種類に当てはまらない困りごとも扱えますか?

    扱えます。情報不足や引継ぎの漏れも、時間、品質、負担への影響と一緒に記録します。分類は問題を見つけるための道具です。

    探索や置き直しが多い場合は5Sで置き場や返却方法を整えます。手順や配置を変える案を考える場合は、ECRSの「なくせないか・まとめられないか・入れ替えられないか・簡単にできないか」で具体化しましょう。

    まとめ:7つの視点で事実を観察し、改善の優先順位を決める

    • 動作・運搬・手待ちなどを、実際に起きた場面と回数で記録する

    • 必要数量・品質要求・設備条件を確認し、必要な作業とムダを区別する

    • 小さく改善を試し、前後工程や安全・品質へ負担を移していないか確かめる

    作業動画からムダが疑われる場面を探し、改善案の候補を整理する作業はAIで自動化できます。動画に映らない条件も照合しながら、実行する案を検討しましょう。

    ムダの候補抽出・改善案作成を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」

    Ollo Factoryは、株式会社Olloが提供する製造業特化型の作業分析AIです。 改善提案AIなら、作業動画をもとに問題点の特定と改善案の検討を進められます。

    ① 作業動画をアップロードすると、ムダの候補と改善案を自動で提示

    AIが映像を分析し、問題のある場面と改善案を提示します。作業者が工具を探す、持ち替える、設備の終了を待つといった場面を、映像に戻って確認しながら検討できます。

    Ollo Factoryで作業動画から特定した問題点と改善提案を確認する画面

    公式掲載画面。問題点・改善案・期待効果が表示されています。期待効果はAIの推定であり、実施後に検証した効果ではありません。

    ② 7つのムダに加え、安全性や人間工学など幅広い観点で分析

    時間のロスだけでなく、動作、運搬、手待ち、道具、安全性、人間工学、5Sなどの観点から問題点を見直せます。速くする案と、身体への負担や品質への影響を一緒に検討できます。

    Ollo Factoryの改善提案で使用する7つのムダ・安全性・人間工学などの分析カテゴリ

    公式掲載の分析観点の説明図。操作画面ではありません。

    動画に映らない必要数量、在庫の保有理由、品質要求は、帳票や担当者への確認を合わせます。提案を現場へ適用する前に、安全・品質の責任者が実施条件を確認します。

    作業映像からムダの候補を見つけ、改善案まで具体化したい製造現場に、Ollo Factoryが適しています。機能と活用方法を詳しく知りたい方は、資料をご覧ください。

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    この記事の執筆者

    株式会社Ollo
    事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida

    製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
    大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
    現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。

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