公開日: 2026年10月30日

作業分析

OWAS法とREBA法の違い|作業姿勢の評価項目と使い分け

    作業者が前かがみになる、腕を上げたまま締結する、低い箱から部品を取り出す。こうした姿勢の負担を改善したくても、どの工程から見直すべきか判断に迷うことがあります。

    OWAS法とREBA法は、作業姿勢を観察して負担を評価し、改善の優先度を考えるための手法です。OWAS法は作業全体に現れる姿勢を大きな区分で整理しやすく、REBA法は注目する場面を首や手首も含めて詳しく評価できる点が主な違いです。

    本記事では両者の評価内容と使い分けを、自動車部品のユニット組立の例で説明します。点数を付けることを目的にせず、作業台や部品配置の改善につなげる流れを整理します。

    OWAS法とREBA法の違いを比較

    どちらも全身の姿勢を扱う手法ですが、部位の分け方と評価に加える条件が異なります。

    比較項目

    OWAS法

    REBA法

    主に見る部位

    背部・上肢・下肢

    体幹・首・下肢と、上腕・前腕・手首

    姿勢以外の条件

    扱う荷重・力

    荷重・力、持ちやすさ、姿勢保持や反復などの活動

    記録の考え方

    姿勢をコード化。一定間隔で観察し、出現状況を整理する方法に向く

    作業全体を確認して対象場面を選び、部位ごとの角度や条件を評価

    結果の表し方

    AC1~4の4段階

    スコアをもとに5段階の対応レベルへ整理

    活用しやすい場面

    工程内の姿勢の分布を把握し、改善対象を絞る

    気になる作業場面を細かく評価し、改善前後を比べる

    OWAS法の概要は、農研機構の作業姿勢評価に関する公開資料でも紹介されています。OWAS法とREBA法の評価項目は、三重大学の公開研究資料の第2章でも確認できます。

    両手法の点数は直接比較できません。 例えばOWASのAC2とREBAのスコア2は、同じ負担や同じ対応を意味しません。改善前後は同じ手法・条件で比べます。

    OWAS法:工程全体から気になる姿勢を見つける

    OWAS法では、背中の曲がりやひねり、腕の高さ、脚の状態、荷重などを分類し、評価表と照合します。結果は改善の必要性を示すアクションカテゴリー(AC)で整理します。

    特徴は、姿勢を比較的大きな区分で記録できることです。例えば工程を一定間隔で観察すれば、前かがみの姿勢がどの作業で、どれくらい現れるかを確認できます。観察時刻、作業名、姿勢コードを残しておくと、改善する場面へ戻りやすくなります。

    一方、首や手首の角度を細かく区別する評価には向きません。同じOWASの区分に見える作業でも、工具の持ち方や手首の曲がり方が違う場合があります。

    ユニット組立の例: 部品供給、組付け、締結、検査を通して観察し、「低い箱から部品を取り出すたびに背中を曲げる」と分かった場合、その作業を改善候補にします。観察間隔の間に短時間の強い負担が生じることもあるため、作業者の訴えや動画の見直しで補います。

    姿勢コードの記録方法は、OWAS法の評価手順で詳しく解説しています。

    REBA法:選んだ場面の首・手首や荷物の持ち方まで確認する

    REBA法はRapid Entire Body Assessmentの略で、全身の作業姿勢を評価する手法です。体幹・首・下肢と、上腕・前腕・手首を分けて記録し、荷重・力や持ちやすさ、活動の条件などを組み合わせます。

    作業をひと通り観察したうえで、頻度の高い姿勢、負担の訴えがある姿勢、巡視で気になった姿勢などを選びます。「最も大きい点数を付ける」ためではなく、改善したい作業を明確にするための選定です。

    ユニット組立の例: 治具の奥側を締結するときに、首を曲げ、肘を上げ、手首をひねっている場面を評価します。工具の重さや持ちやすさも記録し、治具の向きや工具の支持方法を変えた後に、同じ作業を再評価します。

    別々の瞬間の姿勢を一つに合成しないことも重要です。部品を取るときの腰の曲がりと、締結時の腕の高さを一つの姿勢として採点すると、実際には存在しない場面を評価してしまいます。

    作業姿勢に応じた使い分け

    手法を選ぶときは、「どの部位を見たいか」と「工程全体を調べたいか、特定場面を詳しく見たいか」を決めます。

    現場で確認したいこと

    進め方の例

    追加で残す情報

    複数工程のどこに負担のある姿勢が多いか

    OWASで工程全体を観察し、姿勢の出現状況を整理

    工程名、観察時刻、観察回数、作業の頻度

    奥側の締結で首や手首に負担がありそうか

    REBAで対象の締結場面を詳しく評価

    評価した瞬間、対象側、工具・荷重、姿勢保持や反復の条件

    部品箱や治具を変えた効果を確かめたいか

    変更前に使った手法を、同じ作業条件で再実施

    箱の高さ、治具の向き、品種、作業者、評価条件

    両方を必ず使う必要はありません。OWASで候補を絞り、首や手首の状態を詳しく知りたい場面にREBAを使う方法もあります。最初に決めた目的に対して、必要な情報が得られる手法を選びましょう。

    評価から改善につなげる3ステップ

    1.全身が見える動画と作業条件を揃える

    頭、体幹、腕、脚、足元が確認できる位置から撮影します。手元だけが映る動画では、全身の姿勢を判断できません。治具や設備で身体が隠れる場合は、別の角度からの撮影や現場での確認を加えます。

    • 対象を決める: 品種、工程、評価したい動作、通常作業と例外を区別する。

    • 条件を記録する: 部品・工具の重さ、作業台の高さ、繰り返し回数などを残す。

    • 映り方を確認する: 足元や腕が見切れていないか、左右や奥行きを読み取れるか確認する。

    カメラや三脚は動線を妨げない位置に置きます。撮影のために普段と違う姿勢を取らせず、現場の撮影ルールに従って記録してください。

    2.評価した姿勢と根拠を残す

    OWASでは観察方法と姿勢コード、REBAでは対象場面と部位ごとの評価条件を記録します。見えない部位や不明な重さを推測で埋めず、追加確認が必要な項目として分けます。

    担当者が変わっても見直せるように、動画の時刻と評価表を対応させておきます。結果が分かれたときは、点数を平均する前に、姿勢の読み取りや荷重の条件が一致しているか確認します。

    3.配置や方法を変え、同じ条件で再評価する

    例えば低い部品箱からの取り出しが負担になっているなら、箱を持ち上げる、供給位置を近づけるなどの案を検討します。奥側の締結が難しいなら、治具の向きや作業位置、工具の支持方法を見直します。

    改善後は、姿勢の評価に加え、作業時間、品質の確認漏れ、別の部位への負担も確認します。負担のある姿勢が減っても、動線が狭くなったり、別の作業が増えたりしていないかを見ましょう。

    よくある質問

    REBA法のほうが細かいなら、OWAS法は不要ですか?

    不要ではありません。工程全体の姿勢を継続的に記録する目的なら、区分が分かりやすいOWAS法が使いやすい場合があります。細かさだけで選ばず、評価対象と運用に必要な工数で判断します。

    点数が低ければ安全と言えますか?

    姿勢評価の結果だけで、作業全体の安全を保証することはできません。設備への巻き込まれや転倒などは別の危険要因です。また、作業者の体格や体調、長時間続ける負担も確認し、現場の安全衛生管理に組み込みます。

    動画からAIで評価できますか?

    骨格や関節角度を推定し、評価を支援する方法があります。全身の映り方と、荷重など映像から分からない条件の確認が必要です。AIの結果と根拠映像を照合して利用します。

    まとめ:評価したい範囲と部位から使い分ける

    • OWAS法は工程全体の姿勢を整理し、改善対象を絞る用途で活用しやすい。

    • REBA法は注目する場面について、首や手首、持ちやすさなども含めて評価できる。

    • 改善前後は同じ手法・条件で比較し、品質や他の負担も確認する。

    動画からの骨格検出や評価表の作成をAIで自動化すれば、観察・記録の負担を減らし、改善案の検討や効果確認に時間を使いやすくなります。

    作業姿勢の評価を自動化する製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」

    Ollo Factoryは、全身が映る作業動画から骨格を解析し、OWAS法・REBA法による姿勢評価を支援します。要素作業ごとの評価や時系列の負担を確認でき、荷重などの条件を変更して結果を見直せます。

    Ollo Factoryで骨格を検出した作業映像と姿勢評価の結果を確認する画面

    Ollo Factory公式サイトの公開デモ画面。本文の説明用工程を解析した結果ではありません。

    姿勢を一つずつ読み取り、表へ記録する負担がある現場では、撮影条件と評価対象を整理したうえで、実際の動画での適用をご相談ください。作業姿勢の評価から改善検討までの進め方をご案内します。

    作業姿勢評価AIの機能を見る / Ollo Factoryの資料を請求する

    この記事の執筆者

    株式会社Ollo
    事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida

    製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
    大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
    現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。

    一覧に戻る

    最新事例や活用方法をまとめた
    資料をダウンロード。

    Ollo Factoryの導入検討に役立つ情報をご覧いただけます。