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技術継承
製造業のスキルマップの作り方|Excel記入例と評価基準

製造業のスキルマップは、「誰が、どの作業を、どのレベルでできるのか」を一覧にした表です。作業者と技能を並べ、共通の評価基準で記録すると、教育の優先順位や、欠員時の配置を検討しやすくなります。
表を埋める前に、対象の工程・スキル、評価する基準を決めることが大切です。本記事では、初めて運用する現場リーダーに向けて、Excelの記入例、評価基準、教育と再評価までを説明します。例は自動車部品のユニット組立の架空ケースです。実在する従業員の評価ではありません。
スキルマップで分かることと、別に管理すること
スキルマップは、教育の不足や、特定の人へ集中している作業を見つけるために使います。「組立ができる」だけでは広すぎるため、品番確認、ブラケット取付、取付状態の検査、異常時の報告など、観察できる行動へ分けます。
スキルマップで必要な情報
スキルマップは主に下記の情報が必要になります。
項目 | 概要 |
|---|---|
評価対象の作業者 | 行に作業者の名前を記入します。人数が多い場合は、部署や班ごとにまとめると確認しやすくなります。 |
評価したいスキルや作業 | 列に評価する技能や作業を記載します。「品番を照合できる」など、工程で必要な行動を項目にします。 |
評価基準 | 各評価段階で「何ができるか」を定義します。本記事では0~4の5段階を使っています。○・×・△などの記号でも構いません。ただし、各記号が示す習得状態を定義してください。 |
製造業向けの記入例
空欄は「未評価」です。ゼロと同じ意味にせず、評価する機会を用意します。スキルマップには習得状況を一覧にし、評価日、評価者、判断の根拠となる映像・記録、次の確認日は、別の評価記録に残してください。
担当者 | 品番確認 | ネジ締め | 取付状態の検査 | 異常時の報告 |
|---|---|---|---|---|
Aさん | 3 | 3 | 3 | 2 |
Bさん | 2 | 3 | 2 | 1 |
Cさん | 1 | 2 | 未評価 | 1 |
スキルマップの作り方:4ステップ
1.使う目的を決める
「ブラケット取付工程の指導計画を作る」「休暇時の代替担当を育てる」など、目的を決めます。最初は一つの工程・品番群と、その工程を担当する人に絞ります。工場全体を一度に並べると、評価の負担が大きくなります。
2.評価したいスキルや作業を決める
スキルの項目は、観察できる行動で書きます。
品番の照合:部品表と現物の品番を照合できる
取付状態の判定:承認済み基準に沿って確認できる
異常時の対応:作業を止め、指定の相手へ報告できる
「品質意識が高い」などの印象や速さだけで評価せず、工程に必要な確認と判断を項目にします。
職業能力を整理する際は、厚生労働省の職業能力評価基準も参考になります。そのまま全項目を使うより、現場の工程で必要な行動と、承認済み手順へ対応させます。
3.段階ごとに、できる状態を決める
以下の記入例では、0〜4で習得状況を示します。現場に既存の評価基準がある場合は、その基準に揃えてください。数値の代わりに○・×・△などを使う場合も、それぞれの記号が示す状態を決めてから評価します。
段階 | 共通の意味 | ブラケット取付で確認する行動の例 |
|---|---|---|
0 | 未習得 | 現時点で手順と確認点を説明・実施できない |
1 | 説明できる | 部品の識別点、取付順序、確認点を説明できる |
2 | 支援付きで実施 | 指導者の確認・支援の下で所定の手順を実施できる |
3 | 定めた条件で独力実施 | 対象品番・工具・手順の条件内で、確認と異常時対応を含めて実施できる |
4 | 教えられる | 理由や誤りやすい点を説明し、相手の実施を確認できる |
空欄 | 未評価 | 観察や確認の機会がなく、判断していない。 |
4.作成したスキルマップを運用・改善する
スキルマップの作成後、実際の現場に活用します。工程や手順が変わったときや、現場から意見が出たときは、評価項目と基準を見直します。
スキルマップが使われなくなる原因
項目が細かすぎる、誰も評価を更新しない、点数を付けても教育を決めない、といった状態では表が古くなります。対象を絞り、教育や配置を検討するタイミングで更新する運用にします。
点数の合計だけで人を順位付けすると、担当していない技能や、重要度の違いが混ざります。必要な技能ごとに、担当できる人と次の教育を確認してください。空欄を埋めることを目的にせず、未評価の理由も残します。
Excelで入力と見直しをしやすくする設定
選択式にする:評価欄を選び、データの入力規則で0〜4を選ぶリストを設定する。別の欄に対象品番、標準の版、評価日と評価者を残す。
段階を見分ける:条件付き書式で段階ごとに色を付ける。数字と段階名も残し、色だけで判断させない。
未評価を分ける:未評価は空欄にし、0「評価した結果、未習得」と区別する。空欄の意味を表の凡例に書く。
「教育を受けたか」と「できると確認したか」は別の記録です。受講だけで評価を1へ上げず、実技や説明で確認した結果を入力します。
製造業のスキルマップについてよくある質問
評価は何段階がよいですか?
段階の数より、それぞれの行動を区別できるかが大切です。既存の評価基準がある場合は、用語と確認方法を揃えて使います。
本人の自己評価だけで作れますか?
自己評価は認識の違いを話す材料になります。配置や教育の判断に使う項目は、実施の観察、確認記録、評価者の基準も合わせます。
更新は毎月必要ですか?
一律の頻度ではなく、教育後、工程変更、配置検討など、使う場面で決めます。更新する担当と次の確認日は明確にします。
まとめ:評価基準を揃え、教育と配置の判断に使う
作業ごとに、どの条件で何ができればよいかを定義する
評価日・根拠・次の教育内容を残し、点数だけで習得を判断しない
教育後や工程変更時に更新し、育成の優先順位と配置に活用する
評価の根拠を確かめるために、お手本と対象者の作業を見比べる作業はAIで自動化できます。対応する区間の時間差や動作の違いを手がかりに、次に教える内容を絞れます。
お手本と対象者の作業比較を自動化できる製造業特化の作業分析AI「Ollo Factory」
製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」の比較分析AIは、お手本と対象者の動画を対応させ、作業の違いを確認できます。

公式デモ画面。本文のユニット組立例とは別の作業です。
対応する区間の時間差を手がかりに映像を見返し、持ち替えや確認順序の違いを検討できます。時間がかかっている理由は、必要に応じて本人にも確認します。

公式掲載の比較結果。時間差は教育で確認する場面を探す材料です。
Ollo Factoryがスキルマップの点数や作業資格を自動で確定するわけではありません。評価者が、承認済み手順と実施条件に照らして判断します。教え方を揃え、作業の違いを根拠に教育内容を決めたい製造現場での活用方法を、資料でご確認ください。
この記事の執筆者
株式会社Ollo
事業開発部リーダー マーケティング担当 Yoshida
製造業特化型の作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供する株式会社Ollo(東京大学 松尾研究室発のAIスタートアップ)で、事業開発とマーケティングを担当。
大学時代は工学部で設計開発を学び、新卒で大手自動車メーカーに入社。新型EVの開発グループで、設計から工場での生産まで幅広くプロジェクトに携わり、研修の一環として、実際に自動車製造工場でのライン作業も経験。その後、製造業領域のスタートアップで営業・マーケティングに従事。
現在は、製造現場でのAI活用を促進し、よりワクワクする働き方を実現できるよう、「Ollo Factory」の販売・マーケティングに取り組んでいる。
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